2018年08月20日

コスタリカ・サッカーとのささやかな関係

コスタリカ・サッカーとのささやかな関係

2018年8月、水戸ホーリーホックにコスタリカ代表GKのダニー・カルバハル(Danny Gabriel Carvajal Rodriguez)が入団した。
コスタリカと聞いて反応するのは、2002年日韓ワールドカップ出場ために来日したコスタリカ代表が、こともあろうに当時(いつもだが)J2の水戸ホーリーホックと国際親善試合で対戦した、「あの試合」を思い出すサポーターだろうと思う。
ダニー・カルバハル入団を機に、「あの試合」を振り返るとともに、水戸ホーリーホックとコスタリカ・サッカーのささやかな関係に思いを巡らせてみる。

水戸ホーリーホックとコスタリカ・サッカーとのささやかな関係は、以下の三つ。

1. 2002年5月24日、国際親善試合 水戸ホーリーホック対コスタリカ代表

2. 水戸ホーリーホックで活躍したブラジル人FWアンデルソン(Anderson Andrade Antunes, 2006年水戸在籍)のコスタリカ・リーグでの活躍

3. コスタリカ代表GKダニー・カルバハルの水戸ホーリーホックへの入団

ではそれぞれ紐を解いてみよう。

1. 2002年5月24日、国際親善試合 水戸ホーリーホック対コスタリカ代表

2002年5月24日
親善試合 水戸ホーリーホック 0-1 コスタリカ代表
H 笠松 11,078人
水戸ホーリーホック
監督: 菅野将晃
GK: 1本間幸司
DF: 22木山隆之、5鳥羽俊正、3冨田大介▽
MF: 2木澤正徳▽、13北島義生▽、14栗田泰次郎、7安鮮鎮▽、15上園和明▽
FW: 9深川友貴▽、18小野隆儀▽
得点: なし
警告: n/a
交代出場: 4小川雅己、6山崎理人、24的場千尋、16黄学淳、26山本翔平、25金子剛、13吉田賢太郎
控え: n/a

コスタリカ代表
監督: Alexandre Guimaraes
GK: 1 Erick Lonnis
DF: 3 Luis Martin, 4 Mauricio Wright, 5 Gilberto Martinez, 15 Harold Wallace, 22 Carlos Castro
MF: 6 Wilmer Lopez, 8 Mauricio Solis, 10 Walter Centro
FW: 7 Rolando Fonseca, 17 Hernan Medford
得点: Mauricio Solis(22分)
警告: n/a
途中出場: n/a
控え: 2 Jervis Drummond, 3 Luis Marin, 9 Paulo Wanchope, 11 ronald Gomez, 12 Winston Parks, 13 Daniel Vallejos, 14 Juan Rodriguez, 16 Steven Bryce, 18 Alvaro Mesen, 19 Rodrigo Cordero, 20 William Sunsing, 21 Pablo Chincilla, 23 Lester Morgan

中米のコスタリカ代表は、1990年ワールドカップ・イタリア大会以来3大会ぶり2度目となる日韓大会への出場を勝ち取り来日。
監督は2001年からこの代表チームを率いるアレクサンドレ・ギマラエス(当時42歳)、エースFWにパウロ・ワンチョペを擁していた。
コスタリカ代表の対戦日程は、
2002年5月24日 親善試合 ○1-0 水戸ホーリーホック
2002年5月26日 親善試合 ●0-1 ベルギー
2002年6月4日 FIFAワールドカップ グループC ○2-0 中国
2002年6月9日 FIFAワールドカップ グループC △1-1 トルコ
2002年6月4日 FIFAワールドカップ グループC ●2-5 ブラジル
グループCを3位で敗退した。

コスタリカ代表にしてみれば水戸ホーリーホックとの親善試合(公式に国際Bマッチに認定されているか不明)は、ウォーミングアップ的な練習試合程度の意味合いしかなかったかもしれないが、水戸ホーリーホックにとってみれば大きな意味のある試合だった。
J2昇格3年目、前年(2001年)末にはクラブ存続運動すら持ち上がり、このシーズンもリーグ12チーム中10位から最下位をうろうろ、ホーム観客動員数は1,000人ぎりぎりの試合すらあるチーム、それが当時の水戸ホーリーホック。
ところがコスタリカ代表戦、笠松に詰めかけた観客は何と11,078人。
日韓ワールドカップ効果と言えばそれまでだけど、その効果に水戸ホーリーホックが乗れた事自体が奇跡的だった。
それにしてもよくこの試合が企画、開催されたと思う。国際親善試合は現在(2018年8月、以下同)に至るまで最初で最後である。
この試合で水戸ホーリーホックとワールドカップの距離を自分の尺度で測った選手がいたかどうかわからないけど、サッカーでスタジアムを観客いっぱいにする、ということが水戸ホーリーホックでもできる、という事実を残せた意味は当時にとっては果てしなく大きかったと思う。
“大きな期待感”をもって笠松へ行ったあの思いは今でも忘れられない。

2. 水戸ホーリーホックで活躍したブラジル人FWアンデルソンのコスタリカ・リーグでの活躍

さて、アンデルソン。2006年に水戸ホーリーホックに加入しJ2リーグ戦43試合出場17得点という驚異的な記録を残したブラジル人FWアンデルソンは、36歳となった現在もコスタリカ1部リーグのクラブ、カルメリータ(Carmelita)に在籍している。
アンデルソンにとってカルメリータはプロ17年目で在籍26クラブ目、ブラジル、メキシコ、日本(水戸、鳥栖、清水、横浜FC、熊本)、エジプト、コスタリカ、韓国、マルタ、グアテマラを渡り歩く、まさに渡り鳥FWとして選手生活を続けているが、コスタリカ・リーグとの関係は深い。

アンデルソンのコスタリカ・リーグでの在籍及び成績は、
2009年 ブルハス(Brujas)
 1部リーグ戦10試合出場8得点
2010年 ブルハス(Brujas)
 1部リーグ戦9試合出場3得点、プレイオフ1試合出場0得点
2011年 バリオ・メキシコ(Bario Mexico)
 1部リーグ戦3試合出場1得点
2011年 エレディアーノ(Herediano)
 1部リーグ戦16試合出場1得点、
 北中米カリブ・チャンピオンズリーグ4試合出場0得点
2012年 エレディアーノ(Herediano)
 1部リーグ戦10試合出場1得点
2012年 アラジュエレンセ(Alajuelense)
 1部リーグ戦17試合出場2得点、プレイオフ4試合出場0得点
 北中米カリブ・チャンピオンズリーグ4試合出場0得点
2013年 アラジュエレンセ(Alajuelense)
 1部リーグ戦2試合出場0得点
2017年 ムニシパル・リベルタ(Municipal Liberta)
 1部リーグ戦19試合3得点。
2017年 カルメリータ(Carmelita)
 1部リーグ戦8試合出場2得点
2018年 カルメリータ(Carmelita)
 1部リーグ戦10試合出場1得点
(現在までコスタリカ1部リーグ戦通算101試合出場20得点)
得点こそ少なくなったものの、これだけ長期間コスタリカ1部リーグを転戦しているのはアンデルソンのプレイが評価されているからこそだと思う。

尚、2002年日韓ワールドカップでコスタリカ代表として来日(つまり水戸ホーリーホックとの親善試合にも帯同)したウィリアム・サンシン(William Sunsing)は、2010年にブルハスに在籍。同じくカルロス・カストロ(Carlos Castro)は、2010年にブルハス、2011年〜12年にエレディアーノに在籍しており、ともにアンデルソンとはチームメイトとなった。
又、2018年に水戸ホーリーホックに入団したダニー・カルバハルも、2010年にブルハスに在籍、アンデルソンとチームメイト。よって2010年のブルハスには、アンデルソン、ダニー・カルバハル、そして2002年に笠松に来たウィリアム・サンシンとカルロス・カストロが共に在籍していたことになる。

3. コスタリカ代表GKダニー・カルバハルの水戸ホーリーホックへの入団

そして、ダニー・カルバハル。
コスタリカ代表GKとして4キャップ、初キャップは2017年1月18日のコパ・セントロアメリカーナでのパナマ戦、直近では2017年11月11日の親善試合スペイン代表戦にフル出場(試合は0-5の大敗)しているダニー・カルバハルが水戸ホーリーホックに入団した。
2009年、コスタリカ1部リーグのブルハスでプロキャリアをスタート、以後、同1部リーグのサン・カルロス(San Carlos)、強豪ディポルティーヴォ・サプリサ(Deportivo Saprissa)を経て渡欧、スペイン2部リーグのアルバセテ・バロンピエ(Albacete Balompie)に移籍、2018年はアルバセテ・バロンピエからJ2の徳島ヴォルティスに期限付き移籍していたが、契約満了に伴い水戸ホーリーホックに完全移籍、水戸ホーリーホックにとっては初の外国籍GKとなった。

ダニー・カルバハルの母国コスタリカ・リーグでの在籍及び成績は、
2009年 ブルハスFC(Brujas)
 1部リーグ戦1試合出場0得点
2010年 ブルハスFC(Brujas)
 1部リーグ戦1試合出場0得点
2011年 ブルハスFC(Brujas)
 1部リーグ戦12試合出場0得点
2011年 サン・カルロス(San Carlos)
 1部リーグ戦14試合出場0得点
2012年 サン・カルロス(San Carlos)
 1部リーグ戦38試合出場0得点
2013年 サン・カルロス(San Carlos)
 1部リーグ戦12試合出場0得点
2013年 ディポルティーヴォ・サプリサ(Deportivo Saprissa)
 1部リーグ戦1試合出場0得点
2014年 ディポルティーヴォ・サプリサ(Deportivo Saprissa)
 1部リーグ戦13試合出場0得点、プレイオフ8試合出場0得点
 北中米カリブ・チャンピオンズリーグ3試合出場0得点
2015年 ディポルティーヴォ・サプリサ(Deportivo Saprissa)
 1部リーグ戦36試合出場0得点、プレイオフ6試合出場0得点
 北中米カリブ・チャンピオンズリーグ6試合出場0得点
2016年 ディポルティーヴォ・サプリサ(Deportivo Saprissa)
 1部リーグ戦28試合出場0得点、プレイオフ6試合出場0得点
 北中米カリブ・チャンピオンズリーグ4試合出場0得点
2017年 ディポルティーヴォ・サプリサ(Deportivo Saprissa)
 1部リーグ戦13試合出場0得点、プレイオフ8試合出場0得点
 北中米カリブ・チャンピオンズリーグ2試合出場0得点
(コスタリカ1部リーグ戦通算170試合出場0得点)

前述の通り、ダニー・カルバハルは、2010年にブルハスでアンデルソンとチームメイトだったが共にピッチに立ったことはなし。2012年のサン・カルロス在籍時に、当時エレディアーノに在籍していたアンデルソンと敵味方として同時にピッチに立っている。この試合はダニー・カルバハルのコスタリカ1部リーグ戦通算50試合出場達成となった試合だったが、共に長くコスタリカ1部リーグで活躍していたが両者が同時にピッチに立ったのは僅かこの1試合のみだった。
尚、2002年日韓ワールドカップでコスタリカ代表として来日(水戸ホーリーホックとの親善試合にも帯同)したパウロ・ワンチョペ(Paulo Wanchope)は2014年8月から2015年9月までコスタリカ代表監督を務め、2015年7月にはダニー・カルバハルを代表に招集、北中米ゴールドカップに参戦したがダニー・カルバハルに出場機会は与えられなかった。

水戸ホーリーホックとコスタリカ・サッカーの“ささやかな関係”は、今後どのような関係に発展するだろうか。

アンデルソン
カルバハル


by junn-chang, Aug.20, 2018
posted by junn-chang at 01:06| 茨城 ☁| Comment(0) | 葵綴り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

歓喜と奇遇 15年振りのJ2首位!

歓喜と奇遇 15年振りのJ2首位!

2018年3月17日、J2第4節、水戸ホーリーホックがJ2の首位に立った!

水戸ホーリーホックは、J2創設から1年遅れの2000年にJ2昇格。以後今年(2018年)まで19年連続でJ2に所属(つまりはJ2の20年の歴史中19年間)という最長所属記録を更新し続けているのだが、この愛すべき市民クラブにとってJ2首位は、2003年の第3節以来、実に15年振り2度目の快挙となった。

振り返ってみると、2003年の水戸ホーリーホックは、元日本代表主将の前田秀樹を監督に招聘(以降5年間水戸を指揮)、その前田監督がトゥーリオ(田中マルクス闘莉王、現京都サンガ在籍)を加入させ、トゥーリオは10得点を上げるなど絶対的な存在として攻守に貢献するとともに、水戸ホーリーホック在籍中に日本帰化し、大きな注目集め、チームも12チーム中7位でフニッシュ。
このシーズン、水戸ホーリーホックは開幕3連勝を果たし第3節終了時点で首位に立った。

2003年3月15日 第1節 A ○2-1 福岡
得点: 冨田大介、トゥーリオ
2003年3月21日 第2節 H ○1-0 甲府
得点: オウンゴール
2003年3月29日 第3節 A ○4-2 札幌
得点: 森直樹、山崎理人、桜井鐘吾、北川佳男

あれから15年。
2003年の開幕3連勝に出場し、第1節で得点を上げた冨田大介は、今季水戸ホーリーホックに選手として2度目の復帰、第3節で得点を上げた森直樹と北川佳男は、それぞれトップチームコーチ、ジュニアユース監督として現在も水戸ホーリーホックを支えている。

そして何と言っても奇遇なのは、2003年の開幕3連勝による首位奪取のとき、水戸ホーリーホックの象徴かつ絶対的守護神であり続ける本間幸司は、怪我で出場しておらず(開幕から第10節まで鏑木豪がゴールマウスを守った)、そして今季、3勝1分で15年振りに首位に返り咲いた開幕から第4節までやはり本間幸司は出場せず、ベンチに座っている。
さらに言えば、同日、前年に本間幸司からレギュラーを奪い(それ自体が水戸ホーリーホックの歴史上初めてのことだったのだが)リーグ戦全試合フル出場を果たし、今年J2の大宮アルディージャに移籍した笠原昴史が、J2第4節金沢戦でJ2リーグ戦通算100試合出場(内、98試合は水戸ホーリーホック在籍時に出場)を達成している。
これを「奇遇」以外の何と言えば良いのか、まるでわからない。
それでも本間幸司が1999年のJFL時代から現在まで、水戸ホーリーホックの精神的支柱であることに変わりはないことは誰もが知っているし、そして将来必ず訪れるであろう、水戸ホーリーホックのJ1昇格決定の瞬間に、本間幸司がピッチの上にいることを水戸ホーリーホックサポーターの誰もが信じているのだ。
それは「奇遇」ではなく「必然」として。

本間幸司

by junn-chang, Mar.18, 2018
posted by junn-chang at 13:47| 茨城 ☁| Comment(0) | 葵綴り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月21日

邂逅 小林悠とパク・チュホ

邂逅 小林悠とパク・チュホ

 2018年2月20日、韓国の蔚山。ACLアジアチャンピオンズリーグ、Group-Fの第2節、蔚山現代対川崎フロンターレ戦で実現した、小林悠とパク・チュホの邂逅。ピッチには共に先発した二人がいた。
 10年前の2008年、小林悠とパク・チュホは共にJ2の水戸ホーリーホックに在籍していた。
小林悠は拓殖大学在学中、2008年7月にJFA・Jリーグ特別指定選手として水戸ホーリーホックに選手登録され、第27節甲府戦でJリーグ初出場を果たし、J2リーグ戦で5試合出場0得点。
 韓国各年代の代表だったパク・チュホは、小林悠に先立つこと2ヶ月、2008年5月に水戸ホーリーホックに入団、プロ選手としての歩みをスタート、僅か半年の在籍ながら不動のヴォランチとしてJ2リーグ戦24試合出場0得点、天皇杯2試合出場0得点。因みに小林悠が出場した全5試合は、全てパク・チュホは先発フル出場、共にピッチに立っている。
 共に1987年に生まれ、J2の水戸ホーリーホックでプロリーグデビューを果たした二人のその後の軌跡はサッカーファンなら誰もが知る通り。小林悠は長年にわたり川崎フロンターレのエースとして君臨、日本代表にも選出され、2017年には川崎フロンターレのキャプテンとしてJ1リーグ優勝、得点王、MVPを獲得したことは記憶に新しい。
 パク・チュホは、水戸ホーリーホックからJ1の鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田を経て渡欧、スイスのバーゼル、ドイツのマインツ、そして世界的ビッグクラブであるボルシア・ドルトムントにまでステップアップを果たす。韓国代表でも実績を残し、2014年FIFAワールドカップのメンバーにも選出され(残念ながら出場はなかった)、水戸ホーリーホックに在籍した選手として最も成功した選手となった。
 2008年当時、二人のここまで輝かしい将来を思い描いた人はいなかったろうけど、「2008年の半年間、小林悠とパク・チュホが水戸ホーリーホックで共にプレイしていた」という事実を、水戸ホーリーホックのサポーターは忘れないし、密かに誇りに思っているはず。
 そして10年の時を経た2018年2月20日、小林悠とパク・チュホがACLの舞台で対峙している、これは水戸ホーリーホックサポーターにとってささやかな幸福だと思う。
 試合は(久々に)ヴォランチ起用されたパク・チュホが機能した蔚山現代が、2-1で川崎フロンターレを下した。小林悠はフル出場、惜しくも無得点。

小林悠
パク・チュホ

by junn-chang, Feb.21, 2018
posted by junn-chang at 00:09| 茨城 ☀| Comment(0) | 葵綴り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする